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大どんでん返しミステリ

大どんでん返しミステリ 42年間ミステリ読み続けてるミスおじが、今でも「あー!コレって記憶消してからもう一度読みたいヤツや!」ってなってる大どんでん返しの傑作たちを紹介 Togetterでこんな話題があったので、自分なりにオススメポイントなどを書こうと思う。 「 十角館の殺人 」綾辻行人 オススメ度:★★★★★ Good Point 現代日本のミステリにおける金字塔。十角館の殺人BeforeAfterと言われるほど影響力が大きい。それまでの「ミステリ」というジャンルを大きく塗り替えた作品である。みんなが内容を知っているからこそ、まだ知らない人は幸せ。 Bad Point あまりにも有名になりすぎているので、未読でも内容を知ってる可能性がある。キャラクターの名前付けがミステリ好きに偏っているので、元ネタを知らない人からすると、ちょっと分かりづらい。 「 殺戮にいたる病 」我孫子武丸 オススメ度:★★★★ Good Point ひっかかる人は100%ひっかかるし、衝撃度は騙されると分かった上で読んでも衝撃的。一旦読み始めると、もう読む手が止まらない。短いので、あっという間に読み切れる。 Bad Point グロ耐性がない人には厳しい内容。残酷描写がかなりキツく、臨場感があり、駄目な人は駄目。それを乗り越えられるかどうかはかなり厳しいと思う。 「 イニシエーション・ラブ 」乾くるみ オススメ度:★★★★ Good Point 普通に読むと、普通の恋愛小説として読める。何も分からずに、最後まで読んで終わる人も多いと思う。ネタバレされて初めて気がつくという人もいるかもしれない。それくらい精緻に文章が組み込まれている。 Bad Point Good Pointをそのままひっくり返すように、違和感を感じられない作りになっているので、最後まで読んでも意味が分からないという結論になる人が一定数いる。途中で気がつく人は相当に冴えているが、途中で気がつくと途端に、話の内容が陳腐化してしまう両刃の剣。 「 葉桜の季節に君を想うということ 」歌野晶午 オススメ度:★★★★ Good Point ネタバラシされた時に「そうか、小説にしか出来ないじゃんコレ」ってなるのが最高に気持ちいい。騙されたとしても全く不快感がない。むしろ、この描写ってそういう...

ブラックフライデーでコンパクト長財布のil modoを買ったので、レビュー

コンパクト長財布 ブラックフライデーという名前の様々な通販商品買い叩き時期がやってきた。今年は色々と散在し、トータルで20万ぐらい使った。主に、ロードバイク系の商品にガッツリお金を掛けた形になる。前にもちらっと書いたが、手持ちのロードバイクを11速化+パワーメータを搭載というアホな事をする予定で、そのための出費+スマートウォッチとサイコンを買ったみたいな感じでかなり散在してしまった。 そんな大量にロードバイク用品に偏った中で、ロードバイクにあまり関係なかった 長財布 の話を今日はする。 今まで使っていた財布 今までは、 ダンヒルの長財布 を使っていた。手触りと使い勝手が良く、かなり気に入っていた。しかし、形あるものはいつか壊れる。ジッパー部分の取っ手(?)がブチッと切れてしまった。かなり悲しかった。しばらくは、ジッパーを指でつまんで無理やり開けしめしていたが、段々とその行為にストレスを感じるようになった。 そこで腹を決めて、新たな財布探しに出たのが先月の頭ぐらいの話。 一応長財布を使っていて、こういうのが欲しいなーというおぼろげな輪郭を決めていた。 サイズは1万円サイズ ジッパー式はNG 予算は4万まで まず、1万円サイズというのは、長財布が取れるギリギリのサイズなので、これはマスト条件。 ジッパー式は、今回みたいに壊れたら嫌だなという思いがあり、なるべくジッパー式ではないタイプをチョイス。 予算は4万までという事にしたけれど、安ければ安いほど良いので、下限はそこまで設けなかった。 このような条件で探すと、以下の3つが候補として上がった。 usuha-long il modo loneo usuha-long まず、デザインに惚れた。ギボシで止めるタイプはめっちゃオシャレ。 設計思想も好みだった。最小+最薄を目指すコンセプトは、自分の志向とも合っていた。 思考停止で買おうとしたのだが、なんとこれが超人気商品で、長期間待つ必要があった。 そのため、候補から外れることに。 il modo usuha-longと良く似たコンセプトの財布。これも、かなり好みなデザインである。 設計思想も似通っていて良い。Amazonですぐに買える。という事で、第一候補になった。 loneo こちらのloneoもusuha-longと似たコンセプト...

名探偵じゃなくてもの感想

名探偵じゃなくてもの感想 小西マサテル氏の「 名探偵じゃなくても 」を読んだ。 前作、「名探偵のままでいて」の続編になる。前作の感想は下記記事参照。 名探偵のままでいての感想 作品全体の感想 前作同様、かなりライトな仕上がりになっていて、ミステリに馴染みのない人でも気軽に読める分量、内容になっている。インパクトの弱さに関しては相変わらず残っているが、文字数を(恐らく意図的に)絞っている関係上、バーターで致し方がないか。 ヒッチコック映画とそれに関する話題をばっと並べることでより、一般層向けにチューニングされた印象が強い。そして、謎を呼び込むために警察関係者を出すなどかなり苦心している模様が見受けられる。日常の謎だけでは、話をふくらませるのが難しいのだろう。 物語としての面白さは落ちていないし、前作を知らない人でも充分に読んで楽しめる作りになっているので、初心者向けミステリとしてよいのではないだろうか。ネタバレになるが、簡易的な叙述トリックも仕掛けられているので、知らない人は驚くに違いない(僕は読み慣れているので、すぐに気がついた)。 リドル・ストーリーは続く さて、主人公の楓がどちらの男性に好意を寄せているのかという点に関しては、目的を持って曖昧に描かれている。そして、それに対する回答をあえて書いていない事によって、読者に想像させるように仕向けている。 すでに主人公がどちらかを好きになっているのは確定だが、明言はされていない。 なので、地の文含め色々拾っていくしかない。 居酒屋で3人でスマホに録音しようとする時に顔を近づけた時、ドギマギする 四季の舞台を見に行った時、岩田と小指が接触し、ドギマギする 岩田からプロポーズめいた言葉を言われる(その後、九鬼からの襲撃を受ける) スマートフォンで「メリークリスマス(=愛してる)」を言われる。電話越しに子猫の甘える鳴き声 楓の心情を推察できるのはこの辺くらいだ。さて、これらの材料からある程度の組み立てをしていこう。 居酒屋でのやり取りに関して、本文中にヒントはほとんどない。 楓は吐息を感じ、瞬間右手で胸を押さえて目を閉じた と書いている。正面に岩田が座っているのが確定で、隣に四季が座っているかどうかがちょっと怪しいが、多分四季が隣に座っている。 位置関係からの推察だが、正面から吐息を...

ラーメン再遊記、10巻までの感想まとめ

ラーメン再遊記まとめ ラーメン再遊記 という漫画がある。ラーメン発見伝、ラーメン才遊記に続く続編であり、全編通して出ているラーメンハゲこと芹沢達也を主人公にしたラーメン漫画である。 インターネット上では、芹沢氏の数々の名言&迷言がネットミーム化していて、漫画は読んだことが無いけれども、なんとなく見たことがあるという人は多いと思う。 自分は、発見伝~再遊記まで通して読んでいるので、この漫画に関する思い入れは人よりも深いつもりだ。 そして、再遊記に関しては、何度も読み返している作品である。繰り返し読むことに耐えうる漫画は非常に珍しく、自分も何でこんなにも何度も読み返しているのか色々考えた。 今回は、その考えをブログにまとめようと思っている。 全体 まず、ラーメン再遊記は、 芹沢達也とその周辺の人たちの再生物語 である。 各巻で再生する人が変わっていくので、それを記載したいと思う。 第1巻 第1巻では ミドルエイジ・クライシス に陥り掛けていた 芹沢達也が再生する物語 。やる気が無くなった中で、新世代との対決に気が重くなっていたラーメンハゲが、武田の親父に、 イカれたラーメン馬鹿 と彼自身のキャラクターそのものズバリを言われ、自分を取り戻す。結果として、 苦くて美味しいラーメン という、大分ぶっ飛んだラーメンを作って辛勝する。 その後、次世代筆頭である汐見ゆとりにさらにコンセプトがぶっ飛んだラーメン 酔うためのラーメン を作られ、最前線から身を引くことを決意する。 第2巻 第2巻では、「個」を捨てて、「 万人の形式 」を目指すという、このシリーズ全体を通して度々語られるコンセプトが提示される。最新刊まで、この万人の形式は何度も擦られているが、実際にラーメンという奴は難しくて、そう簡単に万人形式というのは出てこない(当たり前の話だが)。 この巻の再生対象は 加納 と 鹿内 という、伸び悩んでいるラーメン職人二人。ラーメン職人としての二人の能力を的確に見分け、「 クリエイター 」「 アレンジャー 」という2つの方向性を示し、自分の得意な能力を伸ばせ、見事に二人の呪いを解く。ここで、終わっていれば、気持ちの良い話で終わるのだが、性格の悪い芹沢氏は簡単には引っ込まない。続きは3巻で。 第3巻 3巻では冒頭で、クリエイターとしてもアレンジャーとしても、ステ...

SF 絶対に読んでおけランキングを読み終えた

SF 絶対に読んでおけランキングを読み終えた 今年の 8 月にまとめた、SF 絶対に読んでおけランキングの未読作品を読み終えた。 残っていた 3 作は下記の通り。 銀河英雄伝説 宇宙の戦士 歌う船 以下、各作品の感想 銀河英雄伝説 アニメ化もされている本作だが、ある程度のアウトラインは無意識のうちに摂取していたか、内容はなんか読んだことあるなという事が多かった。 とは言え、面白くないかと言えばそんな事なく、バチバチに面白かった。 覇道を行くラインハルトに対して、意地汚い生き残る道を選ぶヤンとはっきりとした考えの違いで、なんやかんやラインハルトを出し抜くヤンの良さに惹かれてしまった。 どちらも魅力的なキャラなので、どっちが好きかは人それぞれだと思うが、僕はヤン・ウェンリーのキャラが好みだった。 読んだのは黎明編なので、これから最後まで追い続けて読みたい。 宇宙の戦士 パワードスーツを発明した画期的な作品……、なのだが、実質的には兵士が育っていく物語。 暴力を描かせたらハイラインの隣に並ぶ人はそういないと感じるほど、痛ましい描写が多い。苦手な人は苦手かも。 SF というよりも、ミリタリー要素が凄く強い。 男の子が好きな作品というイメージ。 歌う船 殻人 シェルピープル と呼ばれる脳だけで宇宙船を操作する世界の中のヘルヴァという少女が主人公。 人によってはすごい面白いらしいが、僕には刺さらなかった。 サイボーグ+スペース・オペラというギミックを使った、恋愛(?)小説なのかなーという感じ。 好きな人は好きなんだと思う。 ランキングを全部読み終えて 足掛け 3 ヶ月を掛けて、未読作品全部読んでみた。読んで良かったと思う。 自分が読んだ作品の中で感銘を受けたのは、 戦闘妖精雪風 ソラリス 銀河ヒッチハイク・ガイド 果しなき流れの果に の 4 作は僕好みだった。特に、ソラリスはこの中では一番ぶっ飛んでいて、すごい考えさせられる作品だった。 難しい事を考えるのが好きな人は、ソラリスを読むことをオススメする。SF の枠を超えた SF で、凄い難解。 雪風も、かなり哲学書じみているけれど、シリーズを一気に読み切るくらいには面白かった。 まずは、第 1 作の戦闘妖精雪風を読むと良い。グッドラック、アンブロークンアローは相当に難解なので、1 作...

名探偵のままでいての感想

名探偵のままでいての感想 このミステリーがすごい受賞、小西マサテルさんの「名探偵のままでいて」を読み終えました。いわゆる「日常の謎」を扱った短編集で、とても読みやすかったです。 設定の巧妙さ この作品における、名探偵役はレビー小体型認知症を患う祖父が担っている。幻視を伴う認知症の一つであるものの、明晰な頭脳のキレは一切衰えていないという設定が良い。 元校長先生という事で、子供たちを純粋に可愛がっている姿や、後進たちへの配慮などちらりちらりと見える善性が心地よく、多くの人が好印象を抱くと思う。 一方の主人公の楓も、ミステリが好きな美人の小学校教諭という”あざとい”設定で、好きな人は好きなキャラクター造形だと思う。この美人な女性を主役に据える事で、最終話でリドル・ストーリーを展開させてる結末もお見事。ミステリにあまり馴染みがない人でも楽しめる作りになっている。 主人公の楓に好意を寄せている男性二人も非常にキャラが立っている。元バッテリーを組んでいたという設定も巧みで、カプ厨が無限に組み合わせと妄想を進められそうな設定になっている。イケメン後輩か、堅実な同僚か。主人公がどちらを選んだのかを考えるが楽しい作りになっている。個人的には、共通点の多い方を主人公が選ぶと思っている。 タイトルの良さ 本書の最後に、この本は元々「物語は紫煙の彼方に」というタイトルだったらしいが、これはあまりにも渋すぎたし、どうしても主人公が探偵役になってしまう。一方、改題した「名探偵のままでいて」は、主人公である楓目線での訴えとなっていて、ぐっと惹きつけられるものになっている。表紙イラストもとても素晴らしく、いわゆるタイトル買い、表紙買いしたくなるような作りになっていて、素晴らしい。 総評 ミステリ部分の”弱さ”はある。インパクトはどうしても弱い。意外な犯人とか、意外な方法みたいな物は少ない。ただし、これはいわゆるミステリマニアの感想であり、初めてミステリを読んだ人にはあっと驚く結末に仕上がっていると思う。しかも、その結末は比較的暖かな物が多く、殺伐とした終わり方とか、ビターな終わり方が少ないのも良い。物語一つ一つの長さも短いので、長い本を読むのが苦手な人でもちょっとずつ読み進められるそういう作りになっていて、その辺はとても現代的だなと感じた。 ミステリマニア的な視点で...

「理解」を”理解る”人は、「理解」を読んで壊されよう

「理解」を”理解る”人は、「理解」を読んで壊されよう テッド・チャンのあなたの人生の物語を読み終えました。 とにかく有名な SF はちゃんと読もう期間なので、 未読の作品類 をひたすら読んでいる。 あなたの人生の物語は、現代における最高レベルの SF 短編集なので、読んでいない人は読むべき。短編集なので、サクっと読めるのが素晴らしい。 しかしながら、内容は凄い重い。SF をゴリゴリ読む人向けと言うべき内容で、サクサク読める人と読めない人で脳みその負担は相当に違うと思う。 やはり表題作は評価が高いが、個人的にはあまり刺さらなかった。ただ、刺さる人にはザクザク刺さるような作品なんだと思う。 僕には、デビュー作である「理解」がめちゃくちゃ刺さった。 「理解」とは ある治療によって、超人になった主人公が施設を飛び出すことから、物語が始まるのだが、まあ、飛び出す所からとにかくカッコ良い。人間の感覚器官の性能を人間のままで伸ばすとどうなるかというのが描かれている事に僕はシビれた。僕自身が、超人(というか天才)への憧れがあるから、この物語はとにかく刺さった。人が人という形のままで、人外になる物語が好きなんだろう。ありとあらゆる手段を尽くして性能を伸ばしていく主人公の前に、同じく超人となったライバルが現れる。超人 VS 超人という構図がとにかくカッコよくて、痺れる。相手の倒し方もとてつもないやり方で、このアイディアを実現するために、こんなにも詰め込んだのかと思わせる構成も素晴らしい。 最後に テッド・チャンという天才作家に出会えて良かった。「息吹」も面白いという評価を見ているので、どこかで読んでおきたい。 しかし、現在他の名作も積んでいる状態なので、頑張って読み進めていきたい。

「果しなき流れの果に」と「戦闘妖精・雪風」を読んだ

有言実行 本日、「果しなき流れの果に」と「戦闘妖精・雪風」を読んだ。 一度は読んでおくべき SF という名前を受けるにふさわしい傑作だった。 みんなも早く読もうね。 果しなき流れの果に 感想 自分が読んだのは、ハルキ文庫版。 端的に言えば、デカい。複雑。圧倒的知識量。 回収できていない伏線があったり、ルビ関連に厨二病感が出ていたり、若い時の小松左京らしさが出ている感じがする。 しかしながら、内容は格別。 白亜紀の中で鳴っている電話というとてつもないプロローグから、永遠に終わることのない砂時計というギミックで物語が始まる。 時間軸がジャンプしまくるので、全体を把握するのがかなり難しい。 また、後半になればなるほど、観念的な話が多くなり、最終的には哲学的な問がテーマとして出てくるので、最後までついて行ける人はかなり少ないのではないだろうか。 初見では理解できなかったので、何度か読み直す必要があった。 しかし、読み直す価値あり。 1965 年にこの小説が出ていたという事はとにかく評価されるべきだし、発表されてから 58 年経った現在でも色褪せていないのは、流石というべきか。 マルチバースという概念が組み込まれているのが凄すぎる。 圧倒される小説というくくりで言うならば、「三体 Ⅲ」に匹敵する内容と言える。 戦闘妖精・雪風<改> 感想 これも作品としてはかなり古く、初出は 1979 年。44 年前の小説だが、こちらも全く色褪せない作品となっている。 むしろ、現代のように AI が発達している時代だからこそ、エピソードをより身近に感じられるようになっているのではないだろうか。 「ジャム」という謎の存在からの侵攻に抗う人類という構図なのだが、作中の軍人たちが、「果たして人間が戦う必要があるのか?」という疑問を何度も投げかけている。 つまり、完全自動機械で戦った方が効率が良いのではという疑問だ。 しかし、そうするとむしろ今度は機械側が人類の「敵」になりうるという事も考えてしまうのが、人間の抱えている業なのかもしれない。 ラストエピソードでは、その事を暗示する話となっており、考えさせられる。 個人的には、「フェアリィ・冬」のエピソードが好き。 総括 読みやすさという点では、圧倒的に戦闘妖精・雪風の方が読みやすい。果しなき流れの果には、かなり読みづらいと思う。...

有名所を三分の一も押さえていない、自称SF好きの感想一覧

SF 小説好き 1480 名に聞いた「絶対に読んどけ」っていう SF 小説ランキングに関する、自分の記録 綺麗にまとまってるのは、増田の方なので、そっちで確認。 https://anond.hatelabo.jp/20230706104954 一応、SF 好きを自称してるけれども、ちゃんと読んでるかどうかを確認した。 個人的な評価 上位 25 位までを評価。 順位 タイトル 著者 感想 1 位 『星を継ぐもの』 J・P・ホーガン 日本人大好き SF でもトップクラスに入る作品。ぶっちぎりで評価されているのも納得。僕も好き。まだ読んだことがない人は読もう 2 位 『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン タイムトラベル物の古典として有名。日本では比較的評価が高い作品。星を継ぐものと同じで、日本人好みの SF。僕も好き。ストーリーとしてはベタベタのラブストーリーで、それが嫌いな人は嫌いだと思う。でも僕は好き 3 位 『ハーモニー』 伊藤計劃 新時代のディストピア小説としての最高峰。伊藤計劃が早逝した事が本当に惜しまれる。もっと彼の作品を読みたかった 4 位 『三体』 劉慈欣 ハード SF で、ファーストコンタクト物で、スペースオペラでととにかく SF 好きのための要素を詰め込めるだけ詰め込んだ傑作。僕の中では、2 位作品 5 位 『幼年期の終り』 アーサー・C・クラーク ファーストコンタクト物の超古典。これを読んでおくと、現在の色々なエンターテイメントに影響を与えている要素が盛り込まれている。ラストシーンの美しさと残酷さが素晴らしい 6 位 『新世界より』 貴志祐介 これは SF というよりも、ファンタジーに近い作品だが、しっかりと SF している。前半はかなりゆっくり進むが、後半になるとみるみるうちにその世界観に吸い込まれていくのは貴志祐介の筆力だと思う。アニメ化もされているので、知名度がやたらと高いなという印象。 7 位 『虐殺器官』 伊藤計劃 伊藤計劃の傑作 SF。ハーモニーと甲乙つけがたい。ジョン・ポールという巨悪と戦うさまが描かれているが、SF というより哲学書に近い作品。思想をぶつけ合う作品はおもしれーんだ。ハーモニーの方が現代的ではあるが、個人的に...

連城三紀彦の戻り川心中を読んだ

連城三紀彦の戻り川心中を読んだ 2023年初LooxUと初音ミクで行こう!は、ミステリ感想文から。 皆様こんにちは。あなたの隣に偏在するArc Cosineです。 さて、今更ながら連城三紀彦氏の戻り川心中を読みました。 以前から、傑作だという声は聴いていましたが、なかなか手を出せずにいました。 この正月休みで重い腰を上げて読み始めたのですが、すごいですね、これ。 収録されている短編は 藤の香 桔梗の宿 桐の柩 白蓮の寺 戻り川心中 の五編。どの作品も非常に色っぽい文体で、ミステリというよりかは純文学に近い感じを受けました。 表題作の戻り川心中が、対外評価も一番高い作品だと思うのですが、この中で一番ヤバかったのは 桔梗の宿 でした。 ネタバレになるのですが、桔梗の宿は日本人ならほとんど知ってる とある事件 が物語のトリックに使われていて、読後にはすぐに分かったのに、読んでいる最中は全くそんな気配を感じることができなかったのが、本当にすごかったです。 何よりも、ネタバラシの所に描かれている、匂い立つ色気に物凄く感動しました。 あー、そうそう、そうだよねー!と思いつつ、おいおいおいおい、お前かーい!という衝撃。 何のことか分からないかもしれませんが、書いている僕も良く分かっていません(笑)。 桔梗の宿作りは、男性よりも女性の方が絶対好みだなと思います。 男性はどちらかと言うと、桐の柩の方が好きなんじゃないでしょうか。 表題作の戻り川心中もかなりの意欲作且つ技巧作で、思いもよらないオチが用意されています。 古い作品ですが、今読んでも色褪せない魅力が詰まった作品です。 個人的なランキングとしては、 桔梗の宿 ≧ 戻り川心中 > 桐の柩 ≧ 藤の香 ≧ 白蓮の寺 という感じ。 どの作品も甲乙つけがたい傑作です。 なによりも、文体が良い。 もし、未読の方は、これをきっかけに読んでみるのはいかがでしょうか。

2022年秋アニメが豊作すぎる

2022年秋アニメが豊作すぎる 2022年も終わりを迎えつつありますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 僕は読書の秋とアニメの秋と開発の秋を堪能しています。 忙しいです。 ということで、今期のアニメはめちゃくちゃ豊作。続編で面白いのもあるし、新作も面白いのがたくさん。 自分個人としても続きが気になるアニメが一杯出ていて、正直追いかけるのが大変なくらいです(でも楽しい)。 そんな秋アニメについての感想をつらつら書きます。 ブログの秋って奴ですね(なんだそれ)。 ぼっち・ざ・ろっく! スタッフに原作愛が溢れかえった人おるやろってくらいむちゃくちゃ作り込みが凄いアニメ。 四コマ漫画をストーリー仕立てにするのにはかなりの改変が必要なのだが、それを見事にやってのけてる。 きらら系は強い。 なんていうか、けいおん!の再来を彷彿させる感じがするが、けいおん!とは全く別物で、ハイスペックスーパー美少女が変顔と承認欲求を爆発させてる状況が面白くならない訳がない。 何よりも、第五話の「ギターと孤独と蒼い惑星」のシーンで「あ、これ面白い」って感じさせるアニメだった。 ぼっちちゃんの承認欲求が、自分から、結束バンドへ向かったシーンが、おじさんたちは好きすぎるんですよ。 曲の演奏でそれを伝える演出が素晴らしすぎて、何度も見返してる。みんな見かえせ。 機動戦士ガンダム 水星の魔女 プロローグから、大分ぶっ飛んだ事をやりつつ、第一話~三話まで怒涛の展開を示して、Twitterでのバズを生み出してる作品。リコリコと似たような雰囲気を感じる。 インパクトのあるキャラクターと、インパクトのあるセリフで視聴者を惹きつけつつ、模擬戦という人死にが出にくい構造にして、間口を広げたのが戦略的だと感じた。 まあ、その後あっさりメインキャラクターを殺していて、ああ、やっぱりガンダムやんけと思った。 OPの祝福に描かれているエアリアル君のクソ重感情、地味にプロローグと本編に生じてる時間のズレ、セリフの端々に含まれる不穏さなど、考察厨の事もしっかりケアした作品作りは流石の一言。 強いキャラクターと強いセリフと、意味深な伏線はみんな大好物なんだって事がはっきり分かる。 個人的には、エアリアル君の動きが女の子的な動きをしていて、作画スタッフすげーなーと思っています(小並感) チェンソーマン 色々と酷評を受け...

ジョン・ミルトンの失楽園を読んだ

ジョン・ミルトンの失楽園を読んだ 秋の夜長という事で、ジョン・ミルトンの失楽園を読んだ。 名作中の名作とも言われているし、欧米というよりキリスト教圏の人たちに取っては、古典中の古典だと思うので、一度は目を通すべきだと常々思っていたが、それがようやくかなった形になる。 ちなみに、これは図書館で借りて読んだ。流石に、自分の図書の1冊として加えるには重鎮すぎる(笑)。 失楽園の概要 失楽園のWikipedia を見れば、おおよそのあらすじを見ることが出来るし、ここを読むだけで十分である。 日本人的な知識ベースだと、このあらすじがとても上手くまとまっているし、これだけで十二分に理解出来る。 この叙事詩は、いわゆる創世記の記述を大幅に加筆表現した物であり、原著では3ページくらいの内容を200ページぐらいまで膨らませた話になっている。 だからといって、中身が薄くなっているという事はなく、ジョン・ミルトンの思想をふんだんに盛り込んだ作品となっており、非常に読み応えがあった。 伏魔殿 パンデモニウム という言葉がここに出てきているのも、感慨深いものを感じた。 僕の場合は、 銀魂のパンデモニウムさん が出てくるが、まあ、それはそれw。 こういう所で、原点を知ることが出来るのが、古典文学を読む時の醍醐味だと個人的には思っている。 ミルトンは何を伝えたかったのか 大筋は、創世記に記されている事柄がベースなので、3行程度でまとめられる内容ではあるが、ミルトンが伝えたかったのは最後の12章の所だと個人的に感じた。 解説の部分を読む限り、ミルトンとしては新世界への切々たる思いを綴ったんだと個人的には理解している。 確かに、この救いがなく、変わりゆく世界に、ミルトンは絶望したが、それでもなお「救い」を求めてこれを書いたんだと考えると、ミルトンの切実な叫びを現代でも受け取れるそんな錯覚すら感じた。 失楽園の最後は、明るい未来を描いて終わっている。 ミルトンの希望を描く事で、この壮大な叙事詩は結ばれており、読んだ後の爽やかさは、彼の願いの清涼さなのかもしれない。 一方、その途中には、人間が持つ醜悪な部分が各所に散りばめられている。人間の綺麗な部分では決してなく、むしろその弱さや醜さを描く事で、今の欠けた部分を抱える人間を表現していたと言えよう。 「人間」と「救い」それが、失...

メイン端末をXiaomiのMi 11 Lite 5Gにした

メイン端末を iPhone から Android にした このブログを見返してみると、 2013 年末から iPhone をメイン端末として使っていた らしい。 この記録からするに、10 年近く iPhone をメイン端末として使っていた算段になる。 メイン端末を Android にするに当たって、幾つかの理由があったので、それを書き出していこうと思う。 Apple にイノベーションが無くなった Apple は iPhone を発表してから常に新しい機能を iOS や iPhone に詰め込んできた。 それに当初から惹かれていたというのは正直な話である。 様々なイノベーションがあったが、ここ数年、iOS から何か新しいものが出てきたというニュースはほとんど聞かなくなった。 まあ、iOS 側だけでなく、Android 側からも新しいのは出ていないけれども……。 いずれにせよ、自分はイノベーションというのを思いの外重要視していた。 故に、イノベーションが無くなった Apple に魅力を感じなくなってしまった。 マシンスペックが完全に Android の方が良くなった 以前は、iPhone > Android という関係だったが、今は iPhone < Android という状態になっている。 ハイエンドだけでなく、ミドルハイに関しても、そうなったのがここ最近の事。 今後は、ミドルレンジや、エントリーに関しても Android スマホの方が高スペックになっていくのは既定路線と言えよう。 今回自分が購入したのは、Xiaomi の Mi 11 Lite 5G 。 my new gear... pic.twitter.com/68eVSGAvpR — ArcCosine💉💉💉 (@ArcCosine) July 10, 2022 昨年発売されたミドルハイモデルで、これが非常にコストパフォーマンスが良い端末だった。 Snapdragon の 780G 搭載で、今メインで使っている iPhone SE2 とも遜色ないというより、むしろほとんどの部分に関しては上回る性能を出してくれている。 今後、Snapdragon の世代が上がっていくに連れ、A プロセッサ以上の性能を体感出来るようになるに違いない。 また、 バッテリーの持ち に関しても...

『天冥の標』シリーズを読み終えたので、その感想

『天冥の標』シリーズを読み終えた 昨年の夏頃からまったりと追いかけて読んでいた天冥の標シリーズを読み終えました。 そう言えば、ふらにゃんオススメの天冥の標の第1巻読み終えました。メニーメニーシープ、面白かったです。続きも楽しく読む予定です。 — ArcCosine💉💉💉 (@ArcCosine) 2021年7月31日 らいもんさんが 時期を同じくして読み終えていた のは、シンギュラリティポイントの一つなのかもしれません、知らんけど。 閑話休題。 天冥の標シリーズの歴史的には、 2→3→4→5→6→7→1→8→9→10 (Part 1とPart 8の順番は微妙だが……)、みたいな感じなので、順番に読みたい人はPart 2から読み進めるのが良いかもしれない。 ただ、やはり作者の狙い的にはPart 1から順々に読み進めて貰ったほうが、衝撃が大きいと思う。 なので、色々と我慢して読み進めることをおすすめする。 Part10まであるが、Part 8まで読み進めないと、1巻で起きた出来事の全容を把握するのは難しい。 そこに至るまで膨大なテキストを消化しなければいけないので、本が好きな人向けの本という感じがする。 個人的には、Part 2は、現代のパンデミックも含めて凄い身近な内容に思えてとても興味深く読めたし、ある意味、天冥の標シリーズの根幹を為すストーリーなので、Part 1よりも先にPart 2を読むというのはありだと思っている。 バリバリのSF好きはPart 1を読んで様々な疑問を抱えながらPart 2以降へ読み進めていくと面白いと思う。 前半Partは、Part毎にテーマが絞られているので、案外すっきり読み進めることが出来る。 逆に、その辺がごちゃ混ぜになったPart 1は全容を理解していない状態で読むとかなり厳しい内容になってるなーというのが正直な意見。 SFでやりたい事全部詰め込みました!みたいな内容なので、SFに慣れていない人にはあまりオススメ出来ないのが非常にもったいない気がする。 三体はその辺、上手いこと短くまとめたなという印象があります。 用語説明あたりから含めて、SFってやっぱり特殊な分野だと改めて感じました。 小川氏が伝えたかった事は、Part 9 ヒトであるヒトとないヒトに詰め込まれていたなと感じました。...

辻真先のたかが殺人じゃないかは、ミステリ小説における最高構成

たかが殺人じゃないかの構成は最高だった たかが殺人じゃないかを読了した。 実は、辻真先氏の作品を読むのがこれが初。 ミステリーランキング3冠を達成した作品であり、面白いというのは前評判から知っていたが、想像を超える良さだった。 構成が素晴らしい まずは、なんと言っても、この作品は構成が素晴らしすぎる。 ミステリファンであればあるほど、この構成に感動しない人はいないと思う。 一番最後まで読み進めて、改めて最初に戻りたくなる作品は、中々お目に掛かることが出来ないのだが、「たかが殺人じゃないか」はその稀有な作品の一つ。 多くの人が最後まで読んで、また最初に戻ったに違いない。 作品構成が往年の作家らしく非常に凝っていて、素晴らしかった。 セリフが素晴らしい タイトルにもなっている、「たかが殺人じゃないか」は劇中のとある人物が放つ言葉なのだが、これが今の情勢と合わせて、自分には響いた。 戦争が与える影響によって、どれだけ人間が醜く歪むのかというのを端的に表したセリフであり、且つその人物のようにはなって欲しくないという作家のメッセージ性が強く表れた言葉であり、今だからこそ、改めてこのセリフの重みを感じる。 ロシアのウクライナ侵攻が無かったとしても、このセリフは非常に重みがある言葉であり、歴史の生き証人からの大切なメッセージである。 この言葉を吐く人間を今後も生み出しては行けないし、当然ながら自分もそうなってはならないと考えさせられるものだった。 とは言え、いわゆる説教臭さは皆無であり、むしろライトな印象でこのセリフが使われている所に、プロの技術の高さがにじみ出ていると感じた。 雰囲気が素晴らしい 昭和24年という、時代としては完全に失われた世界の描写が数々描かれており、それが良かった。 これは京極堂シリーズ読者からすると、ある意味「既視感」のある世界であり、別の作家を通して描かれた昭和24年というのも斬新であった。 京極夏彦以外のフィルターを通しての昭和24年は別の生々しさがあり、読んでいてとても良かった。 ミステリとして ミステリとして読んだ場合、実は非常に明快且つシンプルすぎるため、「誰が犯人なのか」というのはかなり簡単に分かってしまう。 可能性を1個1個潰せば誰でも簡単に結論にたどり着けるからだ。 「なぜ殺したのか」の部分は、かなりの部分隠されてい...

カササギ殺人事件は作中作だけで良かった

カササギ殺人事件を読んだ 先日、カササギ殺人事件を読んだ。 前評判の高さもあり、面白さは抜群だった……が、正直めちゃくちゃ惜しい内容だった。 カササギ殺人事件の作中作の方の「カササギ殺人事件」(以後、カッコつきは作中作)は、とにかく面白かった。 古き良き推理小説を久々に体験できてとても楽しかった。 「カササギ殺人事件」に記述されている古いイギリスは、見たことが無いけれど良く知っている風景だった。 この世界に存在しない村の陰気な雰囲気は、今となっては中々醸し出すことが出来ない物で、本当に良かった。 上巻は本当に面白かった。世界にぐいぐい引き込まれたし、例え使い古された導入だとしても文章としての質感が高ければ時代を越えて楽しめるという事を改めて感じる事が出来た。 そう、上巻までだったら、間違いなく傑作と言えた。 下巻に関しては、蛇足感があまりにも強かった。 下巻に書きたかったメイントリック部分が出てきて、果たしてそれが分かりますかというのが本書のテーマである事は分かるのだが、それは本当に蛇足な上、全然面白くなかった。 アイディアそのものは素晴らしいが、その素晴らしさよりも「カササギ殺人事件」の出来が良すぎた。 そして、「カササギ殺人事件」は上品な作品だったにも関わらず、カササギ殺人事件の方はあまりにも下品だった。 現代編は、現実に近いからこそ余計に品の無さが目立ったしまった。 作品のネタバラシをしている所も品が無かったし、ましてや探偵の名前のネタバラシが……。 これに関しては、多くの人が嫌な気持ちになったはず。 もう少し、まともな名前にして欲しかった、というのが本音。 この作品をオススメ出来るかどうかという点ではかなり悩ましいと思っている。 好きな人は好きだが、下巻の出来が上巻に比べて酷すぎて、カットしたいくらい。 上巻と解決編だけを繋いだバージョンだけを読みたかった。 続編が出ているようなので、それもまた今度読んでみようとは思っているが、続編の内容次第ではまた評価が変わるかもしれない。 マジで、 現代編はいらなかった 。 「カササギ殺人事件」だけで、本書は良かった。 現場からは以上です。

三体の感想

三体を読み終えた 遅ればせながら、三体1~三体3までを読み終えた。 以下、読み終えた感想。 三体1 世界観の説明巻。世界観の説明がされる序盤~中盤は正直つまらない。 ただ、終盤にかけて、三体世界の正体が明らかになると抜群に面白くなる。 三体2 三体世界が明らかになってからの人類の対抗手段が語られる。 完成度としては、3冊の中では抜群に高く、まずはこの巻から読むことをオススメしたい。 ストーリーも分かりやすく、最後のカタルシスは圧巻。 ここで提示される暗黒森林理論は、とても暗い理論であるが、その理論をベースにどう対抗すべきかというのが提示されているのが面白さを増している。 三体3 1、2ではたかだか4光年の世界が描かれているが、3に関しては宇宙全体を描いていて、スケールが壮大になっている。 とあるネタバレ記事では、1、2はBLで、3は百合だという感想が書かれていたが、これに関しては全面同意。 キャラクターの立て方が上手いのを感じる。 時間の流れもかなり早く、The スペース・オペラという感じで読んでいて飽きない。 SF好きのための内容になっていて、エンターテイメント寄りではないので、かなり読むのが辛いかもしれない。 SFを読み慣れている人からすると、場面転換の速さ、世界の拡大していく様子、圧倒的な筆力に満足すること間違いなし。 まとめ 三体シリーズは、SF好きならば目を通すべきシリーズであり、現代SFとはこうだというのが見事に盛り込まれている。 ハイペリオンシリーズを読んだ時と同じくらいの楽しさだった。 実を言うと、三体1,2を読み終えた時、「いやあ、でもスケール感は小さいな」と思っていた。ファウンデーションシリーズや、ハイペリオンシリーズ、虎よ、虎よ!を読んでいた身としては、もっと宇宙規模で物語を書いて欲しかったなーと思っていたので、三体はそれらに比べると小さい話だなと思っていた。 しかし、三体3でその認識が完全に間違っていた事を提示された。 三体世界は当然宇宙全体を巻き込んだストーリーであり、文字通り宇宙全体を巻き込んで話が進んだのがただただすごかった。 また、超紐理論で説明が難しいとされている部分に関して、とてもファンタジーな回答を魅せてくれたのがまた面白い。 最後の怒涛の展開は、やりすぎ感はあるものの、世界観を...

Xシリーズを読んだ

Xシリーズを一気に読む 前回 に引き続き、森ミステリを読んでいる。 今回は、Xシリーズを読みました。 タカイ×タカイ まずは、タカイ×タカイから。 読むと犯人は一体誰なのかが明らかにされていない。森ミステリにありがちなオチ。 ちなみに、自分の中では最初に出てきた犯人説が正しいと思っています。 西之園嬢が最後にシャシャリ出たのは、本当の犯人を理解した上で、責任を取るべき人に迫ったという感じがします。 Xシリーズを読むのが久々なので、探偵役が誰だっけくらいに忘れていましたが、小川さんと真鍋君のとぼけた会話劇が面白かったです。 ムカシ×ムカシ 次は、ムカシ×ムカシ。 個人的には、今回読んだ中で一番好きなオチです。 結局、売れるために全部の武器を使った結果というのが実に現実に即していて、残酷で、好きなんですよね。 こういう厳しい側面を描くのが森博嗣らしいなって気がします。 サイタ×サイタ サイタ×サイタでは、久々に(笑)小川さんが死にかけていました。真鍋君と一緒で良かったね。 犯人の意外性とか手段の特異性があまりなく、正直拍子抜けした内容でした。 完全に繋ぎの話として作られた感があり、そこまで面白くは無かったかなー。 永田さんのアタックが意外と言えば意外で、そこは読み応えがあったかもしれない。 ダマシ×ダマシ シリーズ最終巻のダマシ×ダマシ。 最後まで、「彼女」の事が頭に無かっただけに、衝撃度は抜群。 サイタ×サイタからの時間経過などにも必然性があり、してやられた感がすごかったです。 犯人やその共犯者に関する意外性はゼロで、そっちがメインでは無かったのは、シリーズを通して読んでいる人たち向けの構造になっていたと思います。 それにしても、「彼女」、相変わらず不毛なというか、不運というべきか。 幸せになって欲しいという気持ちはあるのですが、男を見る目があまり良くないというべきか(笑) 重い女だから、しゃーなしとは言え、その辺は頑張って乗り越えて欲しいものです。 総評 Xシリーズの主役は最初真鍋君だと思って読んでたのですが、これ主役は小川さんでしたね。 そう考えると、森ミステリの主役っていつも女性のような気がします。 男性陣は完全に添え物(笑)。 そして、女性陣はいつも何かしらの成長があるのに、男性陣が一切成長していないのは一体何なのでしょう...

Gシリーズを読んだ

久々の森ミステリ 読書という習慣がここ1年近く途絶えていた。 本を読んでいなかった訳ではないのだが、積読本を処理せずに前に読んだことあるのとかばかりを読み直していた。 今回は、Gシリーズの積読本を消化した。 その感想を書く。 キウイγは時計仕掛け Gシリーズにおけるある意味のゴールなのかもしれない。 いつものメンバーに加え、S&Mシリーズから久々に島田女史が参加。 相変わらず重い女の加部谷ちゃんが可愛い。 海月君は相変わらず。 殺人の動機やトリックなどは、ある程度想定の範囲内でありそこまで難しくはなかった。 というより、キャラ小説的な側面の方が強くて、ミステリ部分は定食におけるお新香程度。 Χの悲劇 悲劇三部作の第一弾。 キウイから引き続き島田女史が出ており、彼女が主役の話。 エラリー・クイーンのX~Zに対するオマージュであるが、中身は完全にSFだった。 Gシリーズにおける全体に仕掛けられていた罠が発動した作品である、長年森博嗣ファンをやっている人たちには衝撃度の高そうな作品だったと思う。 実際、衝撃を受けた。 キウイγを読んでからすぐΧを読んだので、衝撃度は抜群だった。 ネタバレを見ないでミステリを読むのは楽しい。 この作品では、サイバーパンクというか、ネットワーク上での攻防が描かれているのだが、それがあまりにも陳腐に写ってしまったのは、実務で実際にやっているからか。 描写をふわっとしているので、森博嗣自身がそこまで詳しくないというのが露呈しており、挑戦したは良いものの現実味が薄すぎたのが玉に瑕かな。 あと、描かれているネットワーク世界よりも現実の方が進んでしまっている事の弊害なのかもしれない。 ここ数年での広がり方の速さはすごすぎたからなぁ。 Ψの悲劇 悲劇三部作の第二弾。 Χの悲劇より後の話として読んで問題はなさそう。 ついに、Gシリーズの主要キャラクタが全て消え、狂言回しとして島田女史が用いられている。 相変わらずのSFもしているが、ミステリ要素が無いわけでもない。 Yの悲劇へのオマージュもしっかりしており、読む人が読めば納得する。 ただ、SF色が強すぎるので、ミステリファンからすると大分評価が低くなりそう。 森ファンならば、存分に楽しめるギミックは詰め込まれているので、安心して読める。 総評 キウイγまでは、青春+ミステリという...

パニック再び

パニック再び コロナウイルスのせいでリモートワーク中心になっている今日この頃です。 東京は今、静かにパニックが始まっている この記事を書いたのが2011年なので、今から約9年前です。 この頃の記事を見ると、当時の僕自身の若さを読み取ることが出来て、なんだか恥ずかしい気持ちになります。 振り返ってみると、あの時のパニックと今起きているパニックは大分方向性が違うことが分かります。 東日本大震災の時は、まさに世界が様変わりした時期でした。 本当に多くの犠牲者や、様々な問題が噴出した事を思い出してしまいます。 オイルショックの時さながらの大量購入する人の姿は、自分自身にも悪影響を及ぼしていたことが分かります。 ↑の記事を読むと、とても感情的になっていて、誰かを諭すような(そしてそれは全く意味がない)文章を書いていることが分かります。 今この記事を書いているのも、ある意味あの時と同じ感情をコントロールする目的で書かれている気がします。 文章を書くと、自分自身の感情を客観視するのに役立つとよく言われていますが、自分なんかも振り返ってみてようやく客観視出来るようになったなと感じます。 まあ、今日書いてる理由は、4年に1度の2/29だから書いているってのもあるんですけれど(しょうもない理由だな) さて、方向性が違うと書きましたが、東日本大震災のパニックは、自然の驚異に対する反応でした。 今回のパニックは、かなり人為的なパニックに近いと思っています。 現実的な話として、コロナウイルスははびこっていますし、どこを経由して感染するか分からないため、多くの人が戦々恐々としています。 それでも、仕事にいかなきゃいけない人は仕事に行きますし、必要物を得るために買い物に行く人もいるでしょう。 畑を世話したり、漁に出たり、山を世話したりとどうしても欠かせない日常があります。 そういった日常の外から、デマゴギーが流れてきて、あの時と同じトイレットペーパーを買うという行動に人々を動かしたのは流石に酷いなと思いました。 情報の元は様々言われています。テレビだったり、とある人のTwitterアカウントだったり、Facebookだったり、色々です。 個人が発信した情報がやたらと早く拡散されるようになったのが、2011年と今の時代の違いですね。 もちろん、SNSベースで動かされた人が...