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連城三紀彦の戻り川心中を読んだ

連城三紀彦の戻り川心中を読んだ

2023年初LooxUと初音ミクで行こう!は、ミステリ感想文から。 皆様こんにちは。あなたの隣に偏在するArc Cosineです。

さて、今更ながら連城三紀彦氏の戻り川心中を読みました。 以前から、傑作だという声は聴いていましたが、なかなか手を出せずにいました。 この正月休みで重い腰を上げて読み始めたのですが、すごいですね、これ。

収録されている短編は

  • 藤の香
  • 桔梗の宿
  • 桐の柩
  • 白蓮の寺
  • 戻り川心中

の五編。どの作品も非常に色っぽい文体で、ミステリというよりかは純文学に近い感じを受けました。 表題作の戻り川心中が、対外評価も一番高い作品だと思うのですが、この中で一番ヤバかったのは桔梗の宿でした。

ネタバレになるのですが、桔梗の宿は日本人ならほとんど知ってるとある事件が物語のトリックに使われていて、読後にはすぐに分かったのに、読んでいる最中は全くそんな気配を感じることができなかったのが、本当にすごかったです。 何よりも、ネタバラシの所に描かれている、匂い立つ色気に物凄く感動しました。 あー、そうそう、そうだよねー!と思いつつ、おいおいおいおい、お前かーい!という衝撃。 何のことか分からないかもしれませんが、書いている僕も良く分かっていません(笑)。

桔梗の宿作りは、男性よりも女性の方が絶対好みだなと思います。 男性はどちらかと言うと、桐の柩の方が好きなんじゃないでしょうか。

表題作の戻り川心中もかなりの意欲作且つ技巧作で、思いもよらないオチが用意されています。 古い作品ですが、今読んでも色褪せない魅力が詰まった作品です。

個人的なランキングとしては、

桔梗の宿 ≧ 戻り川心中 > 桐の柩 ≧ 藤の香 ≧ 白蓮の寺

という感じ。 どの作品も甲乙つけがたい傑作です。 なによりも、文体が良い。 もし、未読の方は、これをきっかけに読んでみるのはいかがでしょうか。

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