スキップしてメイン コンテンツに移動

『天冥の標』シリーズを読み終えたので、その感想

『天冥の標』シリーズを読み終えた

昨年の夏頃からまったりと追いかけて読んでいた天冥の標シリーズを読み終えました。

らいもんさんが時期を同じくして読み終えていたのは、シンギュラリティポイントの一つなのかもしれません、知らんけど。

閑話休題。

天冥の標シリーズの歴史的には、

2→3→4→5→6→7→1→8→9→10

(Part 1とPart 8の順番は微妙だが……)、みたいな感じなので、順番に読みたい人はPart 2から読み進めるのが良いかもしれない。 ただ、やはり作者の狙い的にはPart 1から順々に読み進めて貰ったほうが、衝撃が大きいと思う。 なので、色々と我慢して読み進めることをおすすめする。

Part10まであるが、Part 8まで読み進めないと、1巻で起きた出来事の全容を把握するのは難しい。 そこに至るまで膨大なテキストを消化しなければいけないので、本が好きな人向けの本という感じがする。 個人的には、Part 2は、現代のパンデミックも含めて凄い身近な内容に思えてとても興味深く読めたし、ある意味、天冥の標シリーズの根幹を為すストーリーなので、Part 1よりも先にPart 2を読むというのはありだと思っている。

バリバリのSF好きはPart 1を読んで様々な疑問を抱えながらPart 2以降へ読み進めていくと面白いと思う。 前半Partは、Part毎にテーマが絞られているので、案外すっきり読み進めることが出来る。 逆に、その辺がごちゃ混ぜになったPart 1は全容を理解していない状態で読むとかなり厳しい内容になってるなーというのが正直な意見。

SFでやりたい事全部詰め込みました!みたいな内容なので、SFに慣れていない人にはあまりオススメ出来ないのが非常にもったいない気がする。 三体はその辺、上手いこと短くまとめたなという印象があります。 用語説明あたりから含めて、SFってやっぱり特殊な分野だと改めて感じました。

小川氏が伝えたかった事は、Part 9 ヒトであるヒトとないヒトに詰め込まれていたなと感じました。 「ヒトとは何か」を問うのが、この物語のテーマでした。 ただ、ここでいうヒトは、キャラクターと置き換える事もでき、キャラクターとは何かと言った見方も出来るなと読んでいて思いました。

Part 7~Part 8が、Part 1での伏線総回収みたいになっているので、物語的にはここが一番盛り上がるかもしれません。 その後のPart 9、Part 10は、蛇足というか最後の追い込み!みたいな感じです。 色々あるんですけれど、Part 10はその点大分詰め込みすぎましたね。 伸ばそうと思ったら、もっと伸ばすことも出来たと思うのですが、それだと冗長気味になるので、かなり圧縮して書いたなという印象を受けています。 まあ、このボリューム量ですからね……。圧縮せざるを得なかったんでしょう。

主要キャラクターたちを含め、ヒトのたくましさを描くこの物語を読むことが出来て本当に楽しかったです。 とてもいいSFを読むことが出来ました。

以下、主要キャラへの一言コメント

  • カドム→お前、異能生存体だろ
  • イサリ→イサリちゃんちゅっちゅっ
  • アクリラ→決め台詞最高にカッコよかった
  • エランカ→いい伴侶が見つかると良いね
  • ユレイン→後半割りと空気だったね
  • ラゴス→この女たらしめ
  • リリー→お前、すげえよ
  • ノルルスカイン→おぉう!

まあ、色々あったけれど、どのキャラクターも最後の最後まで生き抜いたという感じがします。 それぞれの立場で、最善を尽くした、そんな感じのストーリーでした。

興味を持たれた方は、Part 1から読むか

単巻として完成度の高いPart 2のどちらかから読むことをオススメします。 Part 3以降はちょっととっつきにくいかな。 特にPart 4はひたすらエロが描かれているので、えっちなのはいけないと思う人にはオススメできません。

個人的には、Part 5が一番好きなエピソードです。 ノルルスカインの誕生が描かれていて、色々な謎が氷解した巻なので。

何にせよ、天冥の標はいいSFでした。

コメント

このブログの人気の投稿

EFIブートローダを移動した話

EFIブートローダを移動した HX90に環境を整え終わってから、アホな事をしたので、その記録を残す。 SSD: Cドライブ SSD: Dドライブ(データストレージ用) + ESP※ SSD: Eドライブ(データストレージ用) ※ESP(EFI System Partition) インストールした時、こんな構成だった。 ESPがDドライブにあるのが気持ち悪かったので、これを削除した。 そしたら、BIOS画面が出るだけになり、Windowsが起動しなくなった。 移動手順 この時の自分はMBRをふっ飛ばした時と同じ現象だと思ったので、MBRというキーワードで検索したが、今はEFIブートローダーと呼んでいるらしい。 【Win10】任意のディスクにEFIブートローダをインストールする 色々検索した結果この記事が参考になった。 Diskpartを使って、パーティションを新たに分割し、bcdbootを実行して、無事に事なきを得た。 パーティションの分割はこんな感じ Diskpart Select volume 0 shrink desired = 200 Select disk 0 Create partition EFI size=200 Format quick fs=fat32 label="ESP" Assign letter=P exit EFIブートローダーのインストールはこんな感じ bcdboot C:\Windows /s P: /f UEFI ちなみに、自分の環境だけの問題なのだが、コマンドラインで、「\」を入力するのができなかった。我が家のキーボードはHHKBだけなので、日本語配列を無理やり適用されると、バックスラッシュが入力できないという不具合が生じる。 結局、コマンドプロンプトからマウスで範囲選択してコピーして貼り付けるという荒業でクリアした。 普通の人は、何も考えずに、\を入力すれば良い。 最終的に SSD: Cドライブ + ESP※ SSD: Dドライブ(データストレージ用) SSD: Eドライブ(データストレージ用) ※ESP(EFI System Partition) という構成に切り替えることができた。

Windows版gVimをアンインストールした日

Windows 版 gVim をアンインストールした話 以前に、 Windows11 on WSL2 + wezterm + Neovim = 最強開発環境 という痛々しい記事を書いたのだが、その続きの記事と言っても過言ではない。 この記事は Vim 駅伝 の 3 月 1 日の記事である。 前回はぺりーさんの netrw を使うために という記事だった。 次回は kuuote さんの Vim 側の組み込みプラグインを無効化するハック という記事である。 gVim との付き合い 思い返してみると、gVim との付き合いは大分長くなった。エディタとしては 自分の人生の中で最も長く付き合ってきたエディタ と言える。Vim のインターフェースとして gVim を何度も使ってきた。自分の手持ちのマシンは Windows なので、必然的に gVim を選択肢として選ぶ必要があった。 gVim の良さは何か。それは、Windows とのシームレスな関係であり、Windows OS の機能をそのまま使いたい場合に有用である。かつての自分にとってこの部分は非常に重要であった。具体的には、印刷機能と画面半透明化機能であり、これが無いとやってられないという認識であった。 しかし、時代が進み、自分の技術力の向上や考え方の変化、さらに Vim 周りのプラグインの更新が進むと gVim で運用していく事がだんだんと億劫になっていったというのが事実である。故に、 WSL2 上で動く Neovim の快適さに心が打ち震えた のである。 技術力の向上に伴う考え方の変化 かつての自分は 何でも gVim で処理したいな と考えていた。メールを見たり天気を見たり、Twitter を見たりするのに、gVim を活用していた。かつての Emacs 使いの guru のような立ち位置を目指していたというのがある。2000 年代初頭にインターネットに多少なりとも触れていた人ならば、「それ Pla」という古の単語を思い浮かべるかもしれない。この概念を持ち出すのはあまりにも古すぎるが、結局言いたいのは、 1 つの手法で全部をこなす という考え方だ。ネットを見るのにわざわざブラウザに切り替えるのはもったいないという今となっては情熱に似た何かを当時は多くの人が持っていた。 しかし、自分自身の技術力

javascriptは外部ファイルにした方がいいの?それとも、インラインの方が良いの?

事の発端 os0xさんのブログコメント で、javascriptの書き方について、面白いやり取りがありましたので、それについての私見を書きたいと思います。 結論から言いますと、プログラマ的な立場から言わせて頂くと、外部ファイル管理が望ましく、コーダ的な立場から言わせていただくとインラインが望ましいです。 なぜそのような結論に至ったのか、まずは経緯を御覧ください。 コメント欄でのやり取り os0xさんのブログコメント欄を引用しています