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ジョン・ミルトンの失楽園を読んだ

ジョン・ミルトンの失楽園を読んだ

秋の夜長という事で、ジョン・ミルトンの失楽園を読んだ。 名作中の名作とも言われているし、欧米というよりキリスト教圏の人たちに取っては、古典中の古典だと思うので、一度は目を通すべきだと常々思っていたが、それがようやくかなった形になる。

ちなみに、これは図書館で借りて読んだ。流石に、自分の図書の1冊として加えるには重鎮すぎる(笑)。

失楽園の概要

失楽園のWikipediaを見れば、おおよそのあらすじを見ることが出来るし、ここを読むだけで十分である。 日本人的な知識ベースだと、このあらすじがとても上手くまとまっているし、これだけで十二分に理解出来る。

この叙事詩は、いわゆる創世記の記述を大幅に加筆表現した物であり、原著では3ページくらいの内容を200ページぐらいまで膨らませた話になっている。 だからといって、中身が薄くなっているという事はなく、ジョン・ミルトンの思想をふんだんに盛り込んだ作品となっており、非常に読み応えがあった。

伏魔殿パンデモニウムという言葉がここに出てきているのも、感慨深いものを感じた。 僕の場合は、銀魂のパンデモニウムさんが出てくるが、まあ、それはそれw。 こういう所で、原点を知ることが出来るのが、古典文学を読む時の醍醐味だと個人的には思っている。

ミルトンは何を伝えたかったのか

大筋は、創世記に記されている事柄がベースなので、3行程度でまとめられる内容ではあるが、ミルトンが伝えたかったのは最後の12章の所だと個人的に感じた。 解説の部分を読む限り、ミルトンとしては新世界への切々たる思いを綴ったんだと個人的には理解している。 確かに、この救いがなく、変わりゆく世界に、ミルトンは絶望したが、それでもなお「救い」を求めてこれを書いたんだと考えると、ミルトンの切実な叫びを現代でも受け取れるそんな錯覚すら感じた。

失楽園の最後は、明るい未来を描いて終わっている。 ミルトンの希望を描く事で、この壮大な叙事詩は結ばれており、読んだ後の爽やかさは、彼の願いの清涼さなのかもしれない。

一方、その途中には、人間が持つ醜悪な部分が各所に散りばめられている。人間の綺麗な部分では決してなく、むしろその弱さや醜さを描く事で、今の欠けた部分を抱える人間を表現していたと言えよう。

「人間」と「救い」それが、失楽園のテーマである事は明白だ。

堕落のシーン

個人的に読んでいてゾッとしたのは、サタンがイブを堕落させるシーン。果実にかぶりつく彼女の描き方が生々しく、恐怖を感じた。 人を越えて神になろうとする強欲さ、本文中の言葉を引用するなら半神デミ・ゴッドになろうとする浅ましさが非常に不快に描かれている。 傲慢さというべきか。それがどれだけ醜いのかが、生き生きと描かれている。

また、アダムがイブのために神を裏切るシーンも迫力がある。 もし、罪の重さがあるとしたら、アダムの方が罪が重いだろう。いわゆる(本来の意味の)確信犯だからだ。神よりも、イブを選んだという行為が罪深いと分かった上で逆らってるからこそ、アダムの負う罪はより重い。 イブを喪うのが怖かったという吐露に共感出来る男性は多いのではないだろうか。しかし、結果として状況が悪化するというのは、現代でもありうる事で、色々と考えさせられる。 何かを得るためには、何かを犠牲にする必要があるのだが、本当に犠牲にして良いものなのかどうか、慎重にならなければ行けないという教訓を得られる。 かつての自分は、その選択を迫られた時、イブを喪う方を選んだ。 それが正しかったと今になって言えるが、並大抵の痛みでは無かった。その傷はずっと癒えていない。 でも、そうしなければ、もっと被害は酷かったである事は容易に想像出来る。 個人の体験とも相まって、心に迫るものがあった。

総評

名著と呼ばれるだけあって、ホントいい作品だった。 ただ、専門用語がバンバン出てくるし、キリスト教圏の人じゃないと理解できない用語や言葉が死ぬほど出てきていたので、読み切るのは相当に大変だった。 後ろの解説ページと本文を行ったり来たりしながらなんとか読み終えたというのが実情である。 英語で読んだなら、言葉のリズムなどもっと楽しめる部分も多いと思うのだが、僕の英語力ではそんな高尚なことは出来ないので、大人しく日本語訳された本著を読むことで雰囲気だけでも味わうことが出来て良かった。 1,667年という非常に古い時代に描かれた作品をこうやって時代を越えて読むことが出来るのは、本当に素晴らしいことだと改めて感じた。 あと、色々なファンタジー小説の種本にも出来るなーと思ったので、物語を書こうと思っている人は、ざっと目を通しておくと良いと思う。

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