カササギ殺人事件を読んだ
先日、カササギ殺人事件を読んだ。 前評判の高さもあり、面白さは抜群だった……が、正直めちゃくちゃ惜しい内容だった。
カササギ殺人事件の作中作の方の「カササギ殺人事件」(以後、カッコつきは作中作)は、とにかく面白かった。 古き良き推理小説を久々に体験できてとても楽しかった。 「カササギ殺人事件」に記述されている古いイギリスは、見たことが無いけれど良く知っている風景だった。 この世界に存在しない村の陰気な雰囲気は、今となっては中々醸し出すことが出来ない物で、本当に良かった。
上巻は本当に面白かった。世界にぐいぐい引き込まれたし、例え使い古された導入だとしても文章としての質感が高ければ時代を越えて楽しめるという事を改めて感じる事が出来た。
そう、上巻までだったら、間違いなく傑作と言えた。 下巻に関しては、蛇足感があまりにも強かった。 下巻に書きたかったメイントリック部分が出てきて、果たしてそれが分かりますかというのが本書のテーマである事は分かるのだが、それは本当に蛇足な上、全然面白くなかった。 アイディアそのものは素晴らしいが、その素晴らしさよりも「カササギ殺人事件」の出来が良すぎた。 そして、「カササギ殺人事件」は上品な作品だったにも関わらず、カササギ殺人事件の方はあまりにも下品だった。 現代編は、現実に近いからこそ余計に品の無さが目立ったしまった。 作品のネタバラシをしている所も品が無かったし、ましてや探偵の名前のネタバラシが……。
これに関しては、多くの人が嫌な気持ちになったはず。 もう少し、まともな名前にして欲しかった、というのが本音。
この作品をオススメ出来るかどうかという点ではかなり悩ましいと思っている。 好きな人は好きだが、下巻の出来が上巻に比べて酷すぎて、カットしたいくらい。 上巻と解決編だけを繋いだバージョンだけを読みたかった。
続編が出ているようなので、それもまた今度読んでみようとは思っているが、続編の内容次第ではまた評価が変わるかもしれない。 マジで、現代編はいらなかった。 「カササギ殺人事件」だけで、本書は良かった。 現場からは以上です。
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