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「果しなき流れの果に」と「戦闘妖精・雪風」を読んだ

有言実行 本日、「果しなき流れの果に」と「戦闘妖精・雪風」を読んだ。 一度は読んでおくべき SF という名前を受けるにふさわしい傑作だった。 みんなも早く読もうね。 果しなき流れの果に 感想 自分が読んだのは、ハルキ文庫版。 端的に言えば、デカい。複雑。圧倒的知識量。 回収できていない伏線があったり、ルビ関連に厨二病感が出ていたり、若い時の小松左京らしさが出ている感じがする。 しかしながら、内容は格別。 白亜紀の中で鳴っている電話というとてつもないプロローグから、永遠に終わることのない砂時計というギミックで物語が始まる。 時間軸がジャンプしまくるので、全体を把握するのがかなり難しい。 また、後半になればなるほど、観念的な話が多くなり、最終的には哲学的な問がテーマとして出てくるので、最後までついて行ける人はかなり少ないのではないだろうか。 初見では理解できなかったので、何度か読み直す必要があった。 しかし、読み直す価値あり。 1965 年にこの小説が出ていたという事はとにかく評価されるべきだし、発表されてから 58 年経った現在でも色褪せていないのは、流石というべきか。 マルチバースという概念が組み込まれているのが凄すぎる。 圧倒される小説というくくりで言うならば、「三体 Ⅲ」に匹敵する内容と言える。 戦闘妖精・雪風<改> 感想 これも作品としてはかなり古く、初出は 1979 年。44 年前の小説だが、こちらも全く色褪せない作品となっている。 むしろ、現代のように AI が発達している時代だからこそ、エピソードをより身近に感じられるようになっているのではないだろうか。 「ジャム」という謎の存在からの侵攻に抗う人類という構図なのだが、作中の軍人たちが、「果たして人間が戦う必要があるのか?」という疑問を何度も投げかけている。 つまり、完全自動機械で戦った方が効率が良いのではという疑問だ。 しかし、そうするとむしろ今度は機械側が人類の「敵」になりうるという事も考えてしまうのが、人間の抱えている業なのかもしれない。 ラストエピソードでは、その事を暗示する話となっており、考えさせられる。 個人的には、「フェアリィ・冬」のエピソードが好き。 総括 読みやすさという点では、圧倒的に戦闘妖精・雪風の方が読みやすい。果しなき流れの果には、かなり読みづらいと思う。

有名所を三分の一も押さえていない、自称SF好きの感想一覧

SF 小説好き 1480 名に聞いた「絶対に読んどけ」っていう SF 小説ランキングに関する、自分の記録 綺麗にまとまってるのは、増田の方なので、そっちで確認。 https://anond.hatelabo.jp/20230706104954 一応、SF 好きを自称してるけれども、ちゃんと読んでるかどうかを確認した。 個人的な評価 上位 25 位までを評価。 順位 タイトル 著者 感想 1 位 『星を継ぐもの』 J・P・ホーガン 日本人大好き SF でもトップクラスに入る作品。ぶっちぎりで評価されているのも納得。僕も好き。まだ読んだことがない人は読もう 2 位 『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン タイムトラベル物の古典として有名。日本では比較的評価が高い作品。星を継ぐものと同じで、日本人好みの SF。僕も好き。ストーリーとしてはベタベタのラブストーリーで、それが嫌いな人は嫌いだと思う。でも僕は好き 3 位 『ハーモニー』 伊藤計劃 新時代のディストピア小説としての最高峰。伊藤計劃が早逝した事が本当に惜しまれる。もっと彼の作品を読みたかった 4 位 『三体』 劉慈欣 ハード SF で、ファーストコンタクト物で、スペースオペラでととにかく SF 好きのための要素を詰め込めるだけ詰め込んだ傑作。僕の中では、2 位作品 5 位 『幼年期の終り』 アーサー・C・クラーク ファーストコンタクト物の超古典。これを読んでおくと、現在の色々なエンターテイメントに影響を与えている要素が盛り込まれている。ラストシーンの美しさと残酷さが素晴らしい 6 位 『新世界より』 貴志祐介 これは SF というよりも、ファンタジーに近い作品だが、しっかりと SF している。前半はかなりゆっくり進むが、後半になるとみるみるうちにその世界観に吸い込まれていくのは貴志祐介の筆力だと思う。アニメ化もされているので、知名度がやたらと高いなという印象。 7 位 『虐殺器官』 伊藤計劃 伊藤計劃の傑作 SF。ハーモニーと甲乙つけがたい。ジョン・ポールという巨悪と戦うさまが描かれているが、SF というより哲学書に近い作品。思想をぶつけ合う作品はおもしれーんだ。ハーモニーの方が現代的ではあるが、個人的に