2012年11月6日火曜日

角交換四間飛車の台頭

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最近の将棋事情

最近、プロの将棋では角交換四間飛車が流行し始めている。
きっかけとなったのは今期の王位戦(http://live.shogi.or.jp/oui/)で、藤井猛九段が連続採用したことだ。
といっても、藤井九段はここ2年程、角交換四間飛車を指し続けている。だが、中々勝つことが出来なかったので誰も見向きをしなかったのだが、王位戦で挑戦ししかも羽生王位相手に1勝を挙げたという事でこの戦法の優秀さが認められるようになったのではないか。
実際、対戦相手の羽生王位も後の王座戦第二局(http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/60/ouza201209050101.html)で採用し、しかも勝っている。

角交換四間飛車のメリット

角交換四間飛車のメリットは以下の点である

  • 穴熊に組ませない
  • 決定的な対抗手段が見つかっていない
  • 定跡が整備されていない
穴熊に組ませないのは、振り飛車党には必須事項といっても過言ではない。平気で穴熊を組ませて勝てるプロはもう殆ど居ないであろう。それほど居飛車穴熊という戦法が優秀だという事だ。その優秀な居飛穴を防げるというその1点だけでも戦法として優秀である事が理解できる。
次の決定的な対抗手段が見つかっていないと定跡が整備されていないという点は相互に関係している。現代将棋はスピードと定跡の時代である。30手から40手まで整備されている定跡が殆どであり、それぞれ結論が出ている。そういった中で、定跡が整備されていない戦法は結論が出ておらず、対抗手段もまちまちであるため、研究のしがいがあり、尚且つ勝つ要素がある。そのような事情から、角交換四間飛車戦法はプロにとっても非常に魅力的な戦法になっているのだろう。
もちろん、最近ゴキゲン中飛車が上手く行かなくなっているという背景も無視できない。超速37銀や2枚銀による対抗手段が確立されつつあり、力戦と言われていたゴキ中も定跡整備が進んできたといった所か。 いづれにせよ、角交換四間飛車は今後対局数が増えていく戦法であろう。

角交換四間飛車のデメリット

  • 駒組みが難しい
  • 手損が気になる
  • 僅かなミスが即敗北
駒組みが難しいのは、お互い角交換している為、角打ちの隙を作らないようにしなければならないという点があるからだ。さらに、自分から角交換をするという手損+場合によっては向かい飛車に振り直すという、実質的に3手損くらいする。そのような不利な状況から巻き返すには序中盤でかなり巧みに立ち回らないといけない。
さらに、そのような繊細な序盤、中盤が強いられる為、1手でもミスすると即敗北に繋がる。藤井先生の過去の棋譜を見ると序中盤は非常に有利に進めていたのに、中盤から終盤へ移行する所でミスをしてしまい、そのまま負けるというケースが多々ある。そういう意味で、非常に神経を削る戦法であると言える。
角交換四間飛車は素人の目からすると適当に指せる戦法なのだが、プロの目から見ると分岐が多すぎて処理しきれないというのが実情のようである。

今後の見所

角交換四間飛車を指す棋士はしばらくは振り飛車党が多いとは思うが、佐藤康光、深浦康市、森内俊之といったオールラウンダーが採用し、指すようになればさらに新しい手が見つかっていくと思われる。
特に、異質感覚の佐藤康光先生の将棋には密かに期待している。
100人中99人が不利と思う局面を「良し」とするその感覚は、トッププロにとっても驚異であるうえ、整備されてない局面でこそ彼の持ち味は生きてくる。
今後、先に挙げた棋士が採用する角交換四間飛車が楽しみである。

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