スキップしてメイン コンテンツに移動

あから2010が指した5七角について

この記事を読む前に

罪山罰太郎さんのこのエントリを先に目を通してください
【レポート】プロ棋士vsコンピューター - 「あから2010」の威力を目撃してきた (1) 歴史的な対局が行われた | エンタテインメント | マイコミジャーナル
俺の邪悪なメモ - ハートキャッチあから?!
ついでに、脳内将棋盤を用意してください。

5七角は本当に理外の一手なのか

マイコミジャーナルの方で書かれていますが、5七角は果たして理外の一手だったのでしょうか。
控え室でも検討されていなかったとありますが、改めて冷静にこの局面を分析してみたいと思います。


まず、後手の詰み筋を読んでみます。
先手の持駒は飛車と桂馬のみ。
この玉を詰ますには角と金が必要になります。
盤面上の5七角と6九金が先手の持ち駒だとしましょう。
そうすると、以下の手順で詰みます。
▲7四桂馬打△同歩▲同桂△7三玉▲8二角△7四玉▲7五金まで
△7四玉の局面で8四玉と逃げる手にも▲7五金、△9四玉に▲9五飛があります。
ただし、持ち駒が飛車だけだとの▲7五金が▲7五飛になり8四玉と逃げられてギリギリ詰みません。
つまり、この局面危なそうに見えますが、角1枚までなら渡しても大丈夫。
そして、先手陣の一番働いている駒は実は6六銀。これが7四桂打からの攻めの威圧感を強めている手でもあるのです。
先の変化で考えると分かるとおり、7三玉からの上部脱出を防ぐ駒なんですね。

その駒と角を交換するのは一見、損に見えるのが普通の感覚。

じゃあ、局面を進めて見ましょう。
先手が一手パスをしたとします。そうすると後手はどう指すか。
△6六角左▲同歩△同角成▲7七桂

この局面になって後手が一手パスしたとしても、後手はまだ詰みません。
つまり、
▲7四桂馬打△同歩▲同桂△7三玉▲8二角△7四玉▲7五飛△8四玉▲8五飛△9四玉
最後は9四に逃げる事ができる上、8四歩と突いて下に脱出する事も可能。
なので、ギリギリではありますが、まだまだ後手陣は耐久力がある訳です。

もっとも、後手も先手も共に一手パスしてるので、絶対にこの局面にはなりませんけれどね。
とはいえ、そういう筋で攻めても耐えられる訳です。

そう、この手は理外の一手というよりも、自分の陣形の耐久力をしっかりと計算した上で指した理詰めの一手なのです。


じゃあこれで先手必敗なの?

僕の前に上げた感想文では、ここで先手敗勢と書いてありますが、今読みなおしてみると▲7八銀という手があったと思います。
角に当てつつ、真の狙いは6九に落ちている金です。
どこかの変化で2九飛と引く形になれば後手は角を渡せなくなります。
(例えば、▲7八銀△4六角成に▲2九飛とか)
他にも、△6六角左▲同歩△同角成の局面で▲7七銀と当てる手も見ています。
そのような変化になれば、2四に飛車が走る展開が見えますし、穴熊にも潜れますし、むしろ先手優勢なのかもしれません。
同金や同角成なら喜んで同飛と取って一手勝ちを狙うことが出来ます。
もちろん、そういう変化には飛び込まないと思いますけれどね。
こうして読みなおしてみると、後手の耐久性や先手の意外な受け+攻めの手筋など将棋の奥の深さを感じます。

これ信じていいの?

かなりの勝手読みなので、この順が正しいかどうか分かりませんが、こういう読み方もあると思っていただければ幸いです。
なるほど、全くわからんという結論でも構いません。
脳みそのシナプスを活性化できたら幸いです。
今日のエントリは以上です。

コメント

このブログの人気の投稿

EFIブートローダを移動した話

EFIブートローダを移動した HX90に環境を整え終わってから、アホな事をしたので、その記録を残す。 SSD: Cドライブ SSD: Dドライブ(データストレージ用) + ESP※ SSD: Eドライブ(データストレージ用) ※ESP(EFI System Partition) インストールした時、こんな構成だった。 ESPがDドライブにあるのが気持ち悪かったので、これを削除した。 そしたら、BIOS画面が出るだけになり、Windowsが起動しなくなった。 移動手順 この時の自分はMBRをふっ飛ばした時と同じ現象だと思ったので、MBRというキーワードで検索したが、今はEFIブートローダーと呼んでいるらしい。 【Win10】任意のディスクにEFIブートローダをインストールする 色々検索した結果この記事が参考になった。 Diskpartを使って、パーティションを新たに分割し、bcdbootを実行して、無事に事なきを得た。 パーティションの分割はこんな感じ Diskpart Select volume 0 shrink desired = 200 Select disk 0 Create partition EFI size=200 Format quick fs=fat32 label="ESP" Assign letter=P exit EFIブートローダーのインストールはこんな感じ bcdboot C:\Windows /s P: /f UEFI ちなみに、自分の環境だけの問題なのだが、コマンドラインで、「\」を入力するのができなかった。我が家のキーボードはHHKBだけなので、日本語配列を無理やり適用されると、バックスラッシュが入力できないという不具合が生じる。 結局、コマンドプロンプトからマウスで範囲選択してコピーして貼り付けるという荒業でクリアした。 普通の人は、何も考えずに、\を入力すれば良い。 最終的に SSD: Cドライブ + ESP※ SSD: Dドライブ(データストレージ用) SSD: Eドライブ(データストレージ用) ※ESP(EFI System Partition) という構成に切り替えることができた。

Windows版gVimをアンインストールした日

Windows 版 gVim をアンインストールした話 以前に、 Windows11 on WSL2 + wezterm + Neovim = 最強開発環境 という痛々しい記事を書いたのだが、その続きの記事と言っても過言ではない。 この記事は Vim 駅伝 の 3 月 1 日の記事である。 前回はぺりーさんの netrw を使うために という記事だった。 次回は kuuote さんの Vim 側の組み込みプラグインを無効化するハック という記事である。 gVim との付き合い 思い返してみると、gVim との付き合いは大分長くなった。エディタとしては 自分の人生の中で最も長く付き合ってきたエディタ と言える。Vim のインターフェースとして gVim を何度も使ってきた。自分の手持ちのマシンは Windows なので、必然的に gVim を選択肢として選ぶ必要があった。 gVim の良さは何か。それは、Windows とのシームレスな関係であり、Windows OS の機能をそのまま使いたい場合に有用である。かつての自分にとってこの部分は非常に重要であった。具体的には、印刷機能と画面半透明化機能であり、これが無いとやってられないという認識であった。 しかし、時代が進み、自分の技術力の向上や考え方の変化、さらに Vim 周りのプラグインの更新が進むと gVim で運用していく事がだんだんと億劫になっていったというのが事実である。故に、 WSL2 上で動く Neovim の快適さに心が打ち震えた のである。 技術力の向上に伴う考え方の変化 かつての自分は 何でも gVim で処理したいな と考えていた。メールを見たり天気を見たり、Twitter を見たりするのに、gVim を活用していた。かつての Emacs 使いの guru のような立ち位置を目指していたというのがある。2000 年代初頭にインターネットに多少なりとも触れていた人ならば、「それ Pla」という古の単語を思い浮かべるかもしれない。この概念を持ち出すのはあまりにも古すぎるが、結局言いたいのは、 1 つの手法で全部をこなす という考え方だ。ネットを見るのにわざわざブラウザに切り替えるのはもったいないという今となっては情熱に似た何かを当時は多くの人が持っていた。 しかし、自分自身の技術力

javascriptは外部ファイルにした方がいいの?それとも、インラインの方が良いの?

事の発端 os0xさんのブログコメント で、javascriptの書き方について、面白いやり取りがありましたので、それについての私見を書きたいと思います。 結論から言いますと、プログラマ的な立場から言わせて頂くと、外部ファイル管理が望ましく、コーダ的な立場から言わせていただくとインラインが望ましいです。 なぜそのような結論に至ったのか、まずは経緯を御覧ください。 コメント欄でのやり取り os0xさんのブログコメント欄を引用しています