注意書き
ネタバレ感想なので、嫌いな人はブラウザクローズ。livedoor Readerで閲覧してる人は全文配信されてるので、諦めてネタバレを見るか素早くsキーを連打するしか無いと思います。
枕詞
細田守監督作品を映画館で見るのはこれが2作目です。(1作目はサマーウオーズ)キャラデザが貞本義行さんなのでキャラクタの造形は非常に素晴らしいです。
のっけから内容じゃなくてそっちの話かよ、これだからオタクはって言われそうですが残念ながら僕はさほどオタクでないので、貞本義行氏の漫画版エヴァをちょっと読んだことあるとかその程度のニワカなんで、えぇえぇ。
どうでもいい話は横にぶん投げといて、あらすじとはその辺は公式サイトを見てください。
テーマ:成長
今回のテーマは「成長」でしょうかね、分かりやすいところとして。誰の成長かというと、当然おおかみこどもである「雨」君と「雪」ちゃんな訳ですが、これってタイトルが壮絶なネタバレになってるんですよね。
つまり、おおかみ|こどもの雨|と雪って事です。おおかみを選ぶのが雨君で、こども=人を選ぶのが雪ちゃん。
これに気づいた時、タイトルも相当練ってるなーって思いました。
ほら、普通に考えたら年齢順でおおかみこどもの雪と雨でも良い訳ですよ。
そこをわざわざ逆にしてるって意味を考えてよくよくタイトルみたらはたと気づいたとかそういう感じ。
さて、テーマとしての成長は、当然視点が二つあるわけです。
「おおかみ」としての成長と「こども=人」としての成長。
「おおかみ」の成長を見ると、小さい頃は雪ちゃんの方がおおかみとして特に考えること無く自分の能力を満喫していました。
一方の雨君は、その能力を毛嫌いしてなるべくならば人としてありたいと子供心ながら感じてた訳です。
元々、性格的にそういう設定になってるので、狙い通りって感じでしょうが、雪ちゃんも雨君もお互いの元の性格で行くとおおかみである事を楽しんでいる雪ちゃんの方がずっとおおかみらしかったです。
畑のエピソードとかね。
「こども=人」としての成長を見ると、お互いにターニングポイントになったのが「学校」ですね。
雪ちゃんは学校に通うことで自分と他人の差異をひどく気にするようになります。これは女の子だからこそという非常に分かりやすいメタファーですが、物語性を高めるのにもそれで良かったのだと思います。
んでもって、雨君の場合「学校」は自然だったわけですね。師と仰げる「先生」に出会うことで、彼はようやく自分の世界を手に入れることが出来たわけです。
成長という観点で見るならば、雨君は「男」としてまた「雄」として、そして「リーダー」として成長していく訳です。「先生」の後継者足りうるからこそ、「先生」も雨君を鍛えたわけでしょうし。
一方の雪ちゃんは「人」としてまた「少女」として、そして「女」として成長して行くわけです。同年代の女の子を鏡として「人」と「おおかみこども」の違いを認識し、気になる男の子(草平くん)の出現によって「少女」として、そしてあの教室でのワンシーンで「少女」から「女」へと成長していく訳です。まあ、「女」は言い過ぎかもしれませんが、それくらい成長の変化が激しい年頃なので、それくらいリップサービスも必要でしょう(意味不明)
ともかく、そういったやり取りを経由して、お互いにおおかみとして生きるか人として生きるかをそれぞれが選ぶという所で、この映画は最高潮に達するわけですね。
非常にわかりやすく、且つ素晴らしいテーマだと思いました。
裏テーマについてあれこれ
裏テーマとして幾つか含まれていましたね。・都会社会への批判
・田舎社会に対する批判
・シングルマザーに対する批判
まあ、そこまで複雑には考えてはいないと思うのですが、そういった事が端々に出てました。
例えば、雪ちゃんと雨君を抱えて都会で育ててた頃の花ちゃんの生活は本当に大変だったと思います。
田舎に隠れたら隠れたで大変でしたしね。
あれ、実際に韮崎さんが居なければずっと村八分状態だった訳ですよね。
そういう意味で韮崎さんは超絶に素晴らしいポジションにおり、彼こそが花ちゃんたちの田舎生活の救世主的なポジションに居るわけですが、そういう事しろよ、お前らみたいなメッセージを勝手に読み取りました。
老齢の頑固爺さんがリーダーシップを取れば、例え村社会外から来た人も受け入れられるっちゅう話です。
もし、韮崎さんが居なければ、間違いなく花ちゃんたちは野垂れ死にしてましたね。
んでもって、シングルマザーがいかに大変かって事も現に読み取れますよね。
まあ、彼が死んでしまったのは物語性を高める為にも必要なエピソードなのでしゃあないけれど、事実、子どもと母親だけでの生活がむちゃくちゃ大変だって伝わりました。
やっぱり、父と母両方が揃って初めてちゃんと家族としてやってける訳です。
ラストシーンで花ちゃんが叫ぶ訳です、「貴方に何もしていない」と。そう、彼女は結局雨君にちゃんと教えることが出来なかったのです。
もちろん、十分すぎるくらい彼女はやっていました。
それでも花ちゃん自身は雨君を育てることが出来なかったという自覚が芽生えるほど精一杯だった訳です。
本来「おおかみ」としての「生き方」は「父親」である「彼」が担うべきでした。
そこがすっぽり抜けたまま雨君は成長する訳ですが、男は勝手に育つという意味では無く、やはり本来的には父親がそれを行わなければいけないという風に僕は感じました。
シーンについて
この映画の見所として、テーマとかよりも、日常の多くの風景やワンカットが凄く綺麗に、そしてシビアに描かれていてものすごく感動しました。僕のような重箱の隅を突くタイプにとっては最高に面白い訳ですが。
以下、思いに任せて書きなぐったので、非常にアレ。ネタバレ多く含まれてるので、気にしたら負け。
・冒頭のシーンと花ちゃんが意識を失ったシーンのシンクロ。臨死体験的な描写をしたかったんだと思いますが、あれがそうだと分かった時プロローグすげーーー!!って思った
・彼が処理されるシーン。ゴミ袋→ぽいっ→ぐいーん→うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!
・小児科と動物病院で悩むシーン。シリアスな笑い。
・キャベツと何を植えるかのシーン。おっちゃん……。
・雪ちゃんがおおかみ→こどもを平然と行う所での韮崎のおばさんの態度→気づけwwwwwおおらかにも程があるだろwwwwクソワロタwwwwシェパードはねえよwwwwwwww
・雪を駆け抜けていくシーン。凄い躍動感でこれ3D表現したら格好良いんだろうなー!
・小学校時代の成長シーン。廊下の移動で学年が進むという演出。分かっていても、凄い良いと思った。
・雪ちゃんの告白シーン。カーテンの演出ぅぅぅぅ!!!うおおおお!!!やべええええ!!!くそ、これ考えた奴すげええよおおお!!! この入れ替わり!!うっひょおおおお!!!!(顔は真顔)
・熊との遭遇。えまーじぇんしいい!!えまーじぇんしいい!!うおお、こぐまぁあああもっふもっふもっふもっふ!(顔は真顔)
・花ちゃんが目を覚まして雨君を見た瞬間に人→おおかみ。雨くううううんん!!!!!!
キャラクタについて
・花ちゃん→こんな子いねーよ。でも、凄く強い子でちょっと嫁さんに欲しいくらい。
・雪ちゃん
→いやあ、女になったねえ。ああいう快活な子が女として成長するのを見守るのは楽しいですね(問題発言)
・雨君
→あめきゅんでも良い。可愛い。ケモショタ属性ある人にはたまらんかも。僕には欠片もないのでキュンキュンしませんが、凄く良い雄になったと思う。かっけえ。
・彼
→最後まで本名わからず。良い奴だってことは分かるが、同時にすげえ馬鹿なんだと思う。男だからこそ、ああいう馬鹿やってドジったとは思うんだが、それでもホント馬鹿だよ、あんた。
・草平くん
→なりは小さくても男だね。いいオトコになれよ
・韮崎さん
→助演男優賞受賞間違いなし。もう、大好き。この映画の中で一番好き。こういう爺さんに僕はなりたい。
・草平の母
→僕が最大限に嫌う人種の一人。この映画の中で一番苛立ちを覚えた。
色々言いたいことはあるけれど、とりあえず、韮崎さんに注目すると凄く良いと思うよ。
最後に
大きな感動はありません。大きな悲しみもありません。大衝撃も大爆笑もありません。あるのはただひたすらに現実と戦い続ける家族のシーンが淡々と描かれています。
でもそれが、たまらなく、愛おしいほど、素敵なんです。
オススメします。
見て損はしない映画です。
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